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「モリンネ」リハーサルレポート2

乗越たかお氏の舞踊評論家[養成→派遣]プログラム二期生の中本登子さんによる
「モリンネ」のリハーサルレポート、第二弾です
ぜひご一読ください!!

 
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第一弾はこちら
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関かおりPUNCTUMUNの新作『モリンネ』(吉祥寺シアター共催、吉祥寺ダンスLAB企画)の二度目の取材に伺った。
 
しんとしたスタジオに、時計の秒針音だけが聞こえてきた。驚いたのは、どのダンサーもほぼその速さと同じ速度で動いていたことだ。体内時計⁈私たちの感じる時間は、生物としての体内活動と関係しているのだと改めて実感した。
 
最初の取材から一週間後のリハーサルでは、いくつかのパートを試していた。
強い意志を感じる倉島聡、しなやかな小池陽香、透明感のある佐藤桃子、そして稀に見る上体の強さを持つ北村思綺によるそれぞれのソロ。また、ゆるぎない軸を持つ岩渕貞太とアンサンブルダンサーたちの連なった動き。甘い雰囲気の内海正考と瑞々しい高宮梢のデュオなどだ。
日本を代表するコンテンポラリーダンス振付家、関かおりに選ばれたダンサーたちは、どのダンサーも唯一無二の個性があり、魅力的だ。
 
今回の作品は、ルドルフ・チェスノフリーデクが書いた『利口な女狐の物語』を翻案するらしい。
題名である『モリンネ』とは、「モ(森、死)リンネ(輪廻)ネ(音、根)」を意味しているという。関が作品名としてよく用いる、文字や音に意味を与え、一つの単語や文章にした造語だ。
 
題材としている作品は動物と人間の諍いなどを通し物語が展開するが、関は「誰がどの登場人物でということではない」という。
それぞれのダンサーが様々な生物に変容し、生まれ、産み、老い、死するような振りは、原作同名オペラを参考に最低限の声や短い歌のフレーズを用いて、ゆっくりとした体内時計を感じる動きで展開される。
 
ダンスで物語を説明するのではなく、むしろダンサーたちの生物としてのエネルギーをみせることによって、登場人物の転生輪廻を意図した演出だと感じた。
 
(監修:乗越たかお@舞踊評論家[養成→派遣]プログラム)
 
 

[今回のコラボレーションにつきまして]

関かおりPUNCTUMUN×舞踊評論家[養成→派遣]プログラム

舞踊評論家の乗越たかおです。
現在私がメンターとなり、舞踊評論家を本気で育てる【舞踊評論家[養成→派遣]プログラム】の第二期を進めております。
そんなおり、関かおりさんのカンパニー「関かおりPUNCTUMUN」様から受講生による稽古場レポートの依頼がありました。

受講生はまだ勉強中の身とはいえ、これは書き手の知見を広げる実践的な機会であり、またアーティスト側にとっても、新しい書き手との出会いの可能性もあり、本プログラムの意義と可能性を示すものとして、積極的に取り組まさせていただきました。

今回は当プログラム第二期受講生の中本登子が挑戦いたしました。
乗越たかおは監修という形で最終的な責任を負いますが、あくまでも書き手のオリジナリティを尊重し、取材も中本一人で行っております。

「関かおりPUNCTUMUN」の皆さんは非常に温かく中本を迎え入れて下さり、アーティストと評論家の関係に新しい視点を提案してくださいました。
ありがとうございました。

こうしたプログラムの伸張をこれからも続けて行きたいと思います。ありがとうございました。

乗越たかお 
 

中本登子さんプロフィール

4歳よりクラッシックバレエをはじめ、16歳の時School of American Balletに留学。
その後、クラッシックバレエの主役、ソリスト、バランシン作品などを踊る。
慶應義塾大学文学部でフランス文学を学び、バレエに関する著書『文学的「バレエ ジゼル」のすすめ』(奏亘書房)がある。
バレエ教室、レンタル衣裳、出版、企画など行う「穂坂バレエグループ」代表。
乗越たかおの舞踊評論家[養成→派遣]プログラム二期生。